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『銀のほのおの国』

神沢利子 作 堀内誠一 画 福音館書店 1972

たかしとゆうこの兄妹は、かべかざりのトナカイの首であそんでいるうちに、銀のほのおの国にまよいこんでしまいます。 青イヌによっておびやかされているこの国は、かつてはトナカイの王はやてに守られていました。もとの世界にかえるため、はやてをさがす旅をします。

みんなの感想

誰が悪者なのか?
青イヌじゃないの? トナカイも決していいものってわけじゃない? 断然いいものに見えた木ねずみも微妙に裏切ったり・・・。

結局、ここに書かれている壮大なファンタジーをぼくらが良く知っている一般的な物語のセオリーに当てはめて読んではいけない、ってことが分かったのは読み終わってからでした。

かわいいうさぎの子が殺されてしまったり、救世主のような巨人にも深い悔恨の過去があったり・・・。
言い出せばきりがないほど、この銀のほのおの世界は厳しい世界。
ファンタジーなのに!!

このファンタジーが読むのがつらいほど厳しくて、それでもぐいぐい読まざるをえなかったのは、たぶんこの世界が現実の世界と似ているから。
たかしとゆうこが経験したのは、ぼくらが現実の世界で子どもから大人になり、大学生から社会人になり、そして今に至るまで経験し続けている現実の世界。理不尽なことも含めて、生きるということの意味を探っている・・・。
「『ゲド戦記』を読んだときと同じような衝撃を受けましたね」
実行委員どうしでそんな会話もあったりしました。


ホントにいちばん悪いのは誰?
そんなことを考えて読むものじゃないってわかっているのに、どうしてもこんな考えから抜け出せない私は、ホントに悪いやつや絶対的に正しい登場人物を探したりすることをやめられません。
考えても考えても「絶対的な悪」も「絶対的な善」も見つけられません。

でも・・・。
ぼく自身が人間的に未熟だからなのか、どうしても「絶対的」なもの探しをやめられず・・・。
ひとつだけ見つけましたよ。
それはですねー。

『銀のほのおの国』に描き出されている寒い国は美しいっていうこと。
これだけは確かじゃないかなと思っています。
懸命に生きる動物たちの棲む寒く厳しい世界は美しい!
それだけは確かで間違いないように思えます。

投稿者 まとて : December 9,2007 09:57 PM

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